松戸市「矢切地区」地区計画案 「空・川・道の駅」プロジェクトと「ドローン」等の段階導入
「空・川・道の駅」私案
「矢切地区」の景観は江戸川と低地・坂川・斜面林・台地から成り立っています。昔から変わらない貴重な景観です。
その坂川は、ふれあい松戸川の流水保全水路としてつながっています。その重要な役割は、主に首都圏(東京、埼玉、千葉)の水道水源となっている江戸川の水を安全で良好な水質にするためとされています。
(流水保全水路(ふれあい松戸川) | 江戸川河川事務所 | 国土交通省 関東地方整備局。
「矢切地区」には江戸期より江戸川水運の一つとして伝統的な「渡し舟」の景観もあります。
また、洪水や氾濫などの被害を乗り越えながら川の景観と一体となって「矢切ネギ」を世に送り出している近郊農業地として地域形成をしてきた経緯があります。
松戸市市街化調整区域地区計画には、「矢切地区」の果たす役割がとても重要な意味をもつと考えます。
したがって今も首都圏の安全・安心に関わる重要な川と共に生きる「矢切地区」の発展性を強く感じています。
さらに、「ドローン空輸」「空飛ぶクルマ観光」等の新しい交通機関システムが身近な話題になるほどの現実があります。
今、まさに立地条件の良い「矢切地区」について積極的に意見・考え・感想等の情報交換をしていくべきと考えます。
「矢切地区」・松戸市民のみなさんはもちろんのこと、松戸ゆかりのみなさん、松戸に関心のあるみなさんも発言する時が到来しています。投稿のあった私案と筆者の私案を紹介します。
私案1 若い方の熱い思いの投稿
「越谷レイクタウンをモデルに商業施設を誘致して欲しい、現状店が点々としており子育てがしにくい。まとまった店が入る商業施設を誘致して、若い世代の人々を引っ張ってきて欲しい。東京へのアクセスも良いため、働き盛りの人たちを引っ張ってくる魅力はあると考える。」(20代)
私案2 矢切「空・川・道の駅」プロジェクト
矢切地区拠点プロジェクトの目的
- 「矢切地区」拠点づくりと地域経済の活性化
- ドローン・「空飛ぶクルマ」の段階的導入による発展性
- 農産物の鮮度保持と輸送の安全性向上
具体的な実施案
ステップ1: 矢切「空・川・道の駅」構想
● 建屋構造の特色化
- 階下 「交流広場」(ダンス・BMXパフォーマンス等のステージ、子どもの遊び場、芝生広場、キッチンカーの設置場所等)・駐輪場等
- 2階 販売所・レストラン・休憩所・事務所・倉庫・トイレ等
- 屋上 駐車場・駐機場
● ライブカメラの設置と運用
- 交流広場のライブ規制配信 「交流広場」の状況配信による魅力と演技パフォーマンスの向上
- 防犯・防災カメラの役割 農業生産物の監視・犯罪抑止や浸水・洪水等の予知
- 矢切地区景観の普及・広報 風光明媚な景観の四季模様
ステップ2:「ドローン」「空飛ぶクルマ」の段階導入と実証実験
●「駅」屋上における交通機関の段階導入
- 立地条件を活かした「新たな交通機関」の地域資源化と地域活性化
- ドローン輸送用の着地点として近隣住民の利便性
- 「空飛ぶクルマ」観光遊覧の発着
● 近い将来のドローン技能整備による農業振興策
- 輸送対象: 農産物・加工品
- 輸送先: 東京湾岸豊洲市場
- 優先事項: 農産物の鮮度維持と河川・湾岸エリアの空輸における安全性の確保
- 次段階の双方向輸送と販売チャネルの拡大:
- 豊洲市場から「駅」屋上拠点への輸送と水産物等の逆輸送を実施
- 販売チャネルの検討:「駅」販売店での取り扱い、将来的には「駅」屋上拠点からの市内外への直送
*プロジェクト推進に向けた課題と準備については、後述本文の見出し「地域形成の推し活」において説明を付け加えたいと思います。
*合わせてご覧のうえ、意見・考え・感想や「私案」の提案等をお願いします。
居住者の方々をはじめ各人の立場や生活的環境などは異なりますが、地域形成は様々なご意見の交換があってこそ将来的な展望が開けていくと思われます。
「近い」「遠い」の将来を見据えた各種の情報交換はのぞましいと考えます。アンケートへのご協力を改めてよろしくお願いします。
<松縁会 石橋一夫>
松戸市 矢切地区 「空・川・道の駅」提唱案 受け入れる or 受け入れない?|松縁会 〜松戸をゆかりとする人の会〜
地域振興施設(建屋)の条件
松戸市市街化調整区域地区計画ガイドラインは、「建屋の規模等」について
- 利用検討ゾーン(国道 6 号から概ね400m以内の区域)
- 決定に必要な規模 ( 10ha 以上 20ha 未満の概ね整形な土地の区域)
- ただし、農業振興に寄与する施設のみについては5ha以上とする
- 敷地面積の最低限度は、工場、研究所、流通加工施設、観光等の地域振興に資する施設及びこれらに附属する施設の場合、5,000 ㎡以上で適切な数値を定める
- 農業生産物の流通経路の確保又は拡大につながる小売店舗等農業振興に寄与する施設の場合、500 ㎡以上で適切な数値を定める
「空・川・道の駅」私案の明暗
この構想が受け入れられるかどうかは、地域住民の理解と協力、松戸市の政策判断、具体的な事業計画の可能性検討に左右されると考えています。
<将来への明るい面>
矢切地区は、観光資源化している「矢切の渡し」や江戸川流域の歴史と文化を地域の主体的な柱とし、農業振興との共存を明確に打ち出して農業環境の保全と地域経済の活性化を図ることがガイドラインの趣旨に合致し、景観と資源を活用することになると理解しています。
現状の矢切地区においてドローン空輸や「空飛ぶクルマ」等の新技術を段階的に導入します。「近い」「遠い」将来的な交通・物流に対応するものとして現実的に想定していくべきと考えます。
河川流域の空輸拠点としての可能性は、周辺道路への負担軽減や住宅地への危険回避にもつながります。都市近接型の新しい交通モデルとして見られ、松戸の地域イメージの向上を促す可能性があります。
景観・防災への配慮は、建屋の形態・高さ・面積などを景観との調和を前提に検討します。
屋上に車対応からドローン・「空飛ぶクルマ」への段階として屋上駐車・駐機場、階下には観光客・利用者の見込める交流広場(ダンス・BMXパフォーマンス、キッチンカーの場所)等の構想により物流・観光の拠点とします。
これらとともに、ライブカメラの設置は浸水・防犯リスクへの対応と景観の情報発信とし、地域の安全性と魅力向上の両面に役立ちます。
<将来への暗い面>
地域住民の合意形成には、大規模な施設建設やドローン・空飛ぶクルマの導入が、矢切地区の農村風景や静かな住環境を大きく変える可能性があります。周辺の農家や近隣住宅地の生活に直接的な影響を及ぼす予想もありますので、十分な話し合いを大事にする必要があります。
農業振興との両立も、具体的な環境変化(交通量、騒音、景観の変化など)に対する懸念があり、多くの困難が予想されます。特に、従来の地域社会のあり方と、新たな開発による利便性や経済効果との間で、変化へ対応する地域住民みなさんの意識や心情にむずかしい精神的な負担を伴います。
事業計画の資金調達と需要予測・採算性の面は、「空・川・道の駅」の実現には初期投資と運営費用が必要です。施設等の法的な責任区分に基づく国、県、市の補助金等の公的資金や民間投資が求められます。事業の将来性を確保できるという明確な見通しが不可欠です。
ドローンや空飛ぶクルマの普及や需要の予測を詳細に行う現実的な調査と事業計画の策定が求められます。周辺道路への交通量の影響も詳細に検討する必要もあります。専門的な知識を持つ運営主体の確保や近隣住民の日常生活との調和を図るための綿密な計画等が求められます。
これらの中でも、地域住民みなさんの合意形成が何よりも松戸市の政策判断にかなりの影響を及ぼすことは、自然な帰結と考えています。
土地所有者や居住者をはじめとする関係者、市民、関心のある方などの意見交換は合意形成に必要な条件です。
そのような場は、より多くの機会があればあるほどよいと思います。この松縁会もその一つになることを願います。具体的な事業計画の可能性については、様々な視点から検討し、準備万端の計画が進められてこそ明らかにされると考えます。
「道の駅」の参考事例
「矢切地区」の地区計画案についてのイメージを描くために、おおよその面積に触れてみます。道の駅基本情報一覧 | 道の駅データベース
規模の比較をするための「道の駅」事例を挙げてみます。 道の駅 常総(茨城県常総市) 道の駅常総
『茨城県、南の玄関口 常総市。市の中心を流れる鬼怒川は、かつて水運の中継基地としてえたこのまちを支えました。豊富な水流がもたらす恵みは、たくさんの農産物を育んでおります。厳しくも豊かな自然で育った常総の食材と「生産量1位を誇る農産物」の宝庫である茨城県全域の食材も集めました。お野菜・果物などの農作物、畜産物、水産物のみならず、地域の特産品を活かしたお食事 やスイーツ、加工品もご用意しております。』(ホームページより)
- 敷地面積 約20,000㎡
- 地域振興施設 トイレ・物販施 設・飲食施設・加工室
- 屋外施設 交流広場・プレイルーム・子どもの遊び場 ・芝生広場・授乳室・展望 ・情報コー ナー・休憩施設・駐輪場
地域形成のステップ
矢切地区の景観は東京の近接地と江戸川低地・台地の特異性にあります。松戸市民のみならず首都圏のみなさんの「暮らしの安全・安心」を担ってきています。
将来的にこの景観と「地域振興施設」(道の駅)をさらに活かして新たな交通システムの段階的な導入を計って利便性のある地域形成の一助になることを願っています。
「ドローン」・「空飛ぶクルマ」は、段階的にこれからの社会に向けて自動化された運用も検討されています。
法的な整備は規制と緩和の両面から国・自治体等の行政、研究者、専門事業者等の審議を経て着実に整備されています。これらの動きは、地域における諸条件や特異性を活用して地域形成を計ることが大事な時期に入っていると認識しています。
日本における法的整備は、「空の移動革命に向けたロードマップ」(PowerPoint プレゼンテーション)に基づいて進められています。
日本では、ドローンの空輸を可能にするために航空法の改正が段階的に行われてきました。2022年12月に施行された改正航空法により、一定の条件下でレベル4飛行が可能になりました。
レベル4飛行とは「有人地帯での補助者なし目視外飛行」で、様々な法的な規制を受けた条件のもとで都市部住宅地等において自動システムの運用ができるようになっています。
航空:空の移動革命に向けた官民協議会 - 国土交通省
無人航空機レベル4飛行ポータルサイト - 国土交通省
航空:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール - 国土交通省
また、それらに伴って実証実験も各地で実施されている事例もあります。レベル4飛行の解禁を受け、離島・山間部への配送はもとより都市部での実証も進められています。
・東京都板橋区 河川に隣接する敷地として「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」内に物流施設併設型ドローン実証実験の場「板橋ドローンフィールド」が開設され、宅配便の配送センターから顧客の自宅までの配送区間を指すラストワンマイル配送や災害時の支援物資輸送への活用が検討されています。
「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」に、東京都初の物流施設併設型ドローン実証実験の場「板橋ドローンフィールド」 開設 | 日鉄興和不動産株式会社のプレスリリース
【公式】板橋ドローンフィールド
・国土交通省による都市部実証実験(江戸川区・江東区など)は災害時の物資輸送・施設点検を目的にしています。実証例は江戸川区650mの区間を自動飛行で物資輸送や、江東区における停泊中の船舶から豊洲のドローンポートへ自動飛行が挙げられています。国土交通省の実証報告書
このような事例ばかりではなく、千葉県千葉市、愛媛県では海、河川、離島などの地理的な条件を活用する取り組みも始まっています。
【千葉市】幕張新都心を舞台に「空の産業革命」の実現とドローン産業の一大集積地を目指す!/千葉県
愛媛県:移住・交流の促進について
地域形成の「推し活」
地域形成は、様々なご意見の交換があってこそ将来的な展望が開けていくと述べました。「近い」「遠い」の将来を見据えた各種の情報交換がのぞましいと考えています。現在の諸条件下では、地域形成の担い手は、「推し活」する「矢切地区」・松戸市民のみなさん、松戸ゆかりのみなさん、松戸に関心のあるみなさんです。今こそが積極的に意見・情報の交換をし、発言する時だと認識しています。
矢切地区:農業振興へのアプローチ<地区計画私案>
<ねらい>
矢切地区は、その風光明媚な景観を維持してきました。地区計画案を進めるにあたっては、この景観の保全と農業振興の両立が不可欠です。
<現状の課題>
現状では、個々の農家の努力に頼った事業推進が中心となっています。この状況では、以下の点で限界があります。
- 農地基盤の限り: 個別経営では、利用できる農地が限られています。
- 経営規模の限界: 発展的な農業経営の展望を描くのが難しい状況です。
<今後の方向性>
持続可能で魅力的な農業を実現するためには、以下の取り組みを強化する必要があります。
1. 行政による強力な支援
- 農地の集積・集約化: 意欲ある担い手への農地集積・集約化を積極的に推進します。
- 行政的援助の強化: 農業委員会や農政部局等の行政機関による、より踏み込んだ支援が求められます。
2. 効率的な農業経営の導入
- 法人組織の弾力的運営: 効率的な農業経営の手法を取り入れた法人組織の導入と、その柔軟な運営を促進します。
- 近郊農業の特性を活かす: 都会の人々を惹きつける魅力的な農産物やサービスの提供を強化し、販売拡大を目指します。これにより、矢切地区ならではの近郊農業地の特徴を最大限に活かせる可能性があります。
以上のように「矢切地区」の農業振興へのアプローチを企画しています。
さらに、「景観と観光」の拠点となる「空・川・道の駅」の施設建設とともに、新たな交通システムを段階導入する「推し活」によって地域経済の活性化を目指しています。
最初に紹介し矢切「空・川・道の駅」プロジェクト私案についてのプロジェクト推進に向けた課題と準備を補説したいと思います。
プロジェクト推進に向けた課題と準備
本プロジェクトの成功には、以下の要素を並行して準備・検討する必要があります。
<課題>
1. ドローン性能・技能:・野菜生産物運搬用の大型化機器 ・高度な操縦技術を持つ人材の育成
2. 運用体制: 安全かつ効率的なドローン運用の仕組みづく
3. 経費算定: 輸送コストの明確な根拠の確立
これらの課題をクリアし、段階的な実績評価を行うことで、次のステップへと繋げます。
<将来展望>
- 現段階では、法整備も進み、本プロジェクトの運用も可能になっていますが、運搬容量の大きさやコストを考慮すると、まだ実用化に入るには難しい要素が大きいと思われます。この課題をクリアする開発が進展し、運用の成功が認められるならば、江戸川流域や東京湾岸エリアへ拠点を拡大していくことが可能です。
- これにより、東京と周辺地域における物流に大きな変化をもたらし、より効率的で持続可能なサプライチェーンの構築が期待できます。
- この案について、専門分野内外を問わず、皆様のご意見やご感想をぜひお聞かせください。
- 物流倉庫の案も、「空・川・道の駅」の案も、その他の案についてもいろいろな意見を出し合い、情報を共有し、「矢切地区」の将来像を築き上げていけるような一助となる発言が必要な時です。
是非とも、他の機会や松縁会のホームページの場を通して意見・情報の積極的で建設的な交換をよろしくお願いいたします。また、前回テーマの際に取り上げましたアンケートを再掲しますので、重ねてご協力をお願いいたします。
松戸市にゆかりをもつ人びとや住み続ける市民のみなさんは、持続可能な社会を実現するために「まつどSDGs活動」を推進しています。この活動を共に進めていく上で、矢切地区の発展は、モデル地区にふさわしい動きとして極めて重要と考えています。本私案もその一助になれば幸いです。
なお、アンケート回答結果については、参考にするため一定の取りまとめをした段階で公表する予定です。
<再掲:松縁会アンケート>
ご協力ありがとうございました。