東松戸地域の魅力-紙敷みなみの森-
はじめに -地域の特徴-
東松戸地域の魅力を求めて歩いてみました。東松戸駅から徒歩15分位で恵まれた森の自然景観に出会います。それらの森は個人の所有地で、ふだん出入りができません。
そのような中で行政・地権者の連携とボランティアの皆さんが行き届いた手入れをすることによって自然の豊かな環境が保持され、活動日には市民の皆さんを含めて様々な体験をすることができる森もあります。
松戸市は東京の近郊都市として各地から移り住む人が多いところです。ターミナル駅のある東松戸地域は、閑静な住宅地発展の途上にあります。
特にこの地域は自然地形に恵まれ、都心や二つの国際空港へのアクセスがよいことも特筆しておきたいことです。
暮らしの利便性も感じられる中で、人びとがお互いによく知らない関係でありながら共同のボランティア活動をすることにより、自然と向き合う地元の人びとが関わる空間に足を運んでみました。
その際の駅構内には電車と並んで飛行機マークも表示され、成田空港への案内もされています。
成田スカイアクセス線の東松戸駅から次の松飛台駅を利用する車窓には森が広がっています。
紙敷みなみの森へ
「紙敷みなみの森」へ向けて、松飛台駅から歩いて移動する場合には住宅地を抜けて約15分、距離はおよそ1.2km程度です。近くには畑と住宅があります。
森の入り口には「紙敷みなみの森」案内表示があり、私有地とボランティア活動の管理地になっていることを丁寧に説明してありました。
森の中に入って竹林を通り抜け、進んでいくと小高い所のテーブルを囲んでミーティングが行われていました。
あいさつを終えると、快く席を空けて歓迎していただきました。当日の作業内容や「松戸里やま応援団」関連のイベントなどの打ち合わせが行われ、具体的な手順・方法まで確認がありました。
なお、「紙敷みなみの森」の皆さんは、丁寧な活動報告としてホームページを立ち上げています。充実した活動の様子を見ることができます。
紙敷みなみの森千葉県松戸市にある紙敷みなみの森の紹介サイトですminaminomori.thick.jp
そこで、紹介されている「松戸里やま応援団」の概要は以下の通りです。
「松戸里やま応援団」とは
森の保全・整備を行い、市民のみどりへの理解を広げる場、及び子どもたちの自然学習の場など、みどりと触れ合う機会を提供する活動を行っているボタンティア団体です。
松戸市で 2003 年から毎年開講されている「里やまボランティア入門講座」の修了生が、里やま団体を立上げました。現在、地権者と行政の理解・協力・応援を得、松戸市内の18か所の森で整備活動を行っていて、「みなみの森の会」もその一つです。
オープンフォレストなど色々なイベントを通じて、市民が森とふれあえる場・子どもたちの自然体験の場を提供し、自分たちも楽しみながら、各会それぞれが自主的に活動をしています。
松戸里やま応援団森の保全・整備を行い、市民のみどりへの理解を広げる場及び子どもたちの自然学習の場など、みどりと触れ合う機会を提供する活動をmatsudo-satoyama.org
竹林の保全・他の活動
ミーティング後の作業では、その日の主要な活動として枯れた竹の片づけが行われました。
竹林の森に沿う小路近くに積まれた枯れ竹材です。
それを協力して移動させ、集められた枯れた竹材を砕いて細かくします。
打ち合わせの通り、次の活動をするための作業がなされ、有効な取り組みをされていると感じました。
ところで、その枯れた竹材について、ご案内をいただいた代表加藤茂男さんの説明に、耳を傾ける事実を知ることになりました。
その竹は淡竹(はちく)という種類の大きいタケで、何と120年周期で枯れるという話です。
関係学会では報告されている竹林変化の様子とのことです。
「みなみの森」でも、開花した後に、淡竹のほとんどが枯れていく現象が見られたと説明があり、きわめて興味深く聞き入りました。
淡竹に生じたこの現象は、何世代にも渡る人の暮らしでは、とてもめずらしく注目されると感じました。
その状況の一端が次の写真からもわかります。
開花後に種子をつけず、枯れてしまった後に成長した笹が伸びています。地下茎でつながっているので、その様子を観察していきたいと話されています(ホームページ「120年に一度の竹の開花」)。
ホームページには他に草花を中心とする四季の美しい画像と風景動画が充実しています。
また、森の奥まったところでは、広場づくりをするため、剪定・伐採の作業や下草刈りも行われ、多彩な活動が行われていました。
森の中では、菌によって枯れる現象があり、点検や調査を通して確認してから養生するという活動を続けているとのことです。
「みなみの森」では会員それぞれの思いを実現するため、草花栽培や竹林の育成をはじめとする各種の活動ができるよう、エリアの確保など話し合いの場も大事にされているという説明がありました。
まとめ
「みなみの森の会」は、平成25年度に開催された「第11回松戸里やまボランティア入門講座」の受講生11名が、講座で学んだボランティア活動をこの森で実践するために、設立されました。
各地より集まった人びとは、後に受講された方々も加わり、新旧の会員がチームワークよく、ありのままの自然の現象に対して共同で作業目標に向かって活動しています。
市民を招き入れるなど活き活きと充実した東松戸地域の「里やま保全活動」は、地域の魅力を伸ばし、意義深くかつ健康的に余裕のある活動ぶりで多様な展開をされていると感じました。
<石橋>